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乳腺・内分泌外科

ご紹介

乳腺・内分泌外科は2004年4月に外科から独立し新設されました。 現在、6名の医師が乳腺、甲状腺疾患の診療に専従しています。
取り扱う疾患は乳がん、乳腺良性疾患、甲状腺がん、甲状腺良性疾患などです。
乳がんに関しては診断、治療(手術、薬物療法)を行っています。
甲状腺疾患に関しては主に甲状腺がんに対する手術治療を行っています。

特徴

患者さんがより良い環境で、標準治療を受けていただけるよう、乳腺外科、放射線科、病理科、形成外科等の各科専門医、放射線技師、検査技師、薬剤師、看護師(乳がん看護認定看護師、がん化学療法看護認定看護師)等の種々の医療従事者が協力、連携し患者さんを中心にしたチーム治療を行っております。
*標準治療:科学的根拠に基づいた最も推奨される治療

個々の患者さんがご自分の病状、治療内容について充分に理解していただき、不安なく、納得していただいた上で治療を受けていただけるよう心がけております。

超音波ガイド下マンモトーム、ステレオガイド下マンモトーム生検、センチネルリンパ節生検など最新かつ患者さんにとってより身体的な負担の少ない乳がんの診断・治療を積極的に取り入れ、行っております。

乳がん診療実績
  2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
手術件数 (例) 196 147 169 161 168
温存手術の割合 (%) 73 70 86 73 77
一期的再建件数 (例) 12 15 4 9 4

当院での乳房温存療法の成績

2004年4月から2009年3月までに当院で乳房温存手術を受けられた571人の患者さんのうち、2010年6月の時点で乳房内再発を認めた方はありません。(観察期間2~74ヶ月、中央値39ヶ月。術前化学療法施行例を除く)
一般的には、乳房内再発率はおおよそ年1%、10年間で7~10%程度とされており、それと比べ、当院での乳房温存療法の成績は非常に優れた結果です。

メイクセラピー

乳がん体験者であるメイクインストラクターが、抗がん剤、ホルモン剤、放射線療法などの治療を行う際のメイク、下着、かつらや、その他生活全般に関する疑問、悩みに関する相談をお受けする場を設けています。(月2回開催)

乳がん患者会『つながり』

患者さんだけの集いを年2回、講師を招いての講演会を年2回、それぞれ開催しております。

乳腺疾患(乳がん)の診断の流れ
乳腺疾患の症状

乳房のしこり
乳房の痛み
乳頭からの分泌物
乳房、乳頭の変形、ひきつれ
乳房、乳頭の皮膚の赤み、ただれ
*これらの症状がある場合は、医療機関を受診してください。良性の場合も多く、怖がらず、放置しないようにしましょう。

乳がん以外の乳腺の主な疾患(良性)

乳腺症
乳腺のう胞
線維腺腫
乳管内乳頭腫
葉状腫瘍(まれに悪性)
乳腺炎
*乳房にしこりがあっても、必ずしも乳がんとは限りません。

検査
一般的な検査

1. 視触診
2. マンモグラフィ (乳房専用のX線撮影)
圧迫版で乳房をはさみ、薄く引き延ばして撮影
しこりとして触れないごく早期の乳がんの発見が可能 (「微小石灰化」として映し出す)
撮影にかかる時間は約15分から20分
3. 超音波検査

穿刺吸引細胞診(病理検査)

触診、超音波検査等でしこりが認められる場合に行います。
しこりに細い注射針を刺し吸引し、しこりの中の細胞を採取し、顕微鏡で見て良性か悪性かを調べる検査です。 

検査の判定

多くの場合は、視触診、マンモグラフィ、超音波検査、細胞診により診断が可能です。
しかし、各検査の所見が一致せず、診断が困難な場合があります。
そのような場合には、さらに詳しい病理検査である組織診を行います。
組織診は細胞診に比べ、より正確にしこりの良性・悪性の診断が可能ですが、細胞診に比べると痛みや傷が多少大きくなるため、細胞診のみでは確定診断が困難な場合に次のステップとして行われます。
組織診には、コアニードル生検、マンモトーム生検、外科的切開生検があります。

マンモトーム生検(経皮的吸引式乳房生検システム)の特徴

従来の外科的切開生検に比べ低侵襲
局所麻酔を行いますが、皮膚切開は小さく(0.3~0.4cm)、皮膚切開部分の縫合は不要、また乳房の変形は極めてまれで、傷もほとんど残りません。
マンモグラフィや超音波検査の画像を見ながら組織を採取します。
しこりを触れず、がんを疑う病変の場所がマンモグラフィでしかわからない場合でも病理診断が可能。

乳がんと診断されてからの検査

MRI:乳房の中での乳がんのひろがりをみる検査です。乳房の切除範囲をあらかじめ想定でき、乳房温存手術が可能かを判断するのに非常に有用です。
CT:肺、肝臓などへの遠隔転移の有無を調べます
骨シンチグラフィ:骨転移の有無を調べます
*これらの検査の結果から乳がんの進行度・ステージを診断し、病状にあった最適な治療方法を患者さんとご相談し決定します。また、ステージによっては、まず先に化学療法や内分泌療法を行います。

手術について

当院では、乳がん治療の根治度を損なわず、かつ術後の障害のできるだけ少ない美容的にも満足のいく治療法を選択するように心がけています。

乳房温存手術

腫瘤の縁から約1.5~2cm程度正常乳腺をつけて円状に切り取る円状部分切除、あるいは腫瘤を含めて乳腺を楔状に切り取る扇状部分切除があります。乳房・乳頭は通常温存します。乳房内再発を減少させる目的で、手術後に温存された乳房に対して、原則として放射線治療を行ないます。(放射線治療は25~30回に分け、連続して5~6週間にわたり、外来で行ないます)
 
乳房温存手術の適応は、
1. 3cm以下の腫瘍(良好な整容性が保てれば4cmまで)
2. 画像検査上、広範なひろがりがない
3. 複数の領域にわたって腫瘍が多発していない(整容性を保ったうえで腫瘍をすべて完全に切除できる場合は適応となります)
4. 温存された乳房に対する放射線治療が可能 
などです。
 
①放射線治療を行なう際に必要な姿勢を取れない場合
②妊娠中の場合
③これまでに手術した側の乳房、胸壁に放射線治療をうけたことがある場合
④ある種の膠原病の治療を受けておられる場合
などでは放射線治療を受けられません。

手術で切除した組織標本の病理検査

手術で切除した乳腺の縁の部分を「断端」と呼びます。手術中に断端部分を病理検査(迅速診断)に出し、断端にがんが及んでいないかを顕微鏡で見て確認します。断端にがんが及んでいる場合は、乳房にがん細胞が残っている可能性があるので、手術中に残った乳腺を追加して切除します(切り足し)。さらに、その追加切除した乳腺をもう一度、病理検査(迅速診断)に出し、断端にがんが及んでいないか確認します。このように、原則として、がんが完全に取りきれていると確認できるまで、追加切除を行ないます。従って、追加切除を繰り返して行なわなければならなかった場合には、乳房の変形が強くなることや、乳房切除に手術の途中で術式を変更せざるを得ないことがあります。
迅速診断による断端判定はその検査の性質上限界があり、判定が困難な場合もあります。従って、手術後により詳しく、切除した組織標本の病理検索を行ないます。その結果によっては再手術が必要になることも極めてまれにあります。

乳房温存手術

←は、皮膚の切開線を示します。


胸筋温存乳房切除術

乳房温存手術の適応を満たさない場合に行われます。
通常は、腫瘍の周囲の皮膚を乳頭・乳輪とともに切除し、大胸筋・小胸筋をともに温存したAuchincloss法を行います。

一期的乳房再建術

乳房温存手術の適応を満たさないが、どうしても乳房を喪失したくないという希望がある場合には、形成外科と協力し、乳がん手術の時に同時に乳房再建を行っています。背中の広背筋か、お腹の腹直筋を使って再建します。

センチネルリンパ節生検について

センチネルリンパ節とは、がんが最初に転移をきたすリンパ節です。センチネルリンパ節を見つけだし、手術中に検査して転移がないことを確認できれば、それ以外のリンパ節に転移がないと考えられますので、その場合は、腋窩リンパ節の完全切除(郭清)を省略できます。それによって、腋窩リンパ節郭清後の後遺症(上肢のむくみ、腋の下のしびれ、上肢の運動制限など)を軽減することが可能になります。当院では、センチネルリンパ節の同定に、色素だけでなく放射性同位元素も使用し精度の高いセンチネルリンパ節生検を実施しています。

薬物療法について
当科では、国内外の薬物慮法のガイドラインに基づき、なおかつ個々の患者さんの状態、状況に応じた、最適な薬物療法を行うよう心がけております。
薬物療法には施行時期やその目的により以下のような種類があります。

1)化学療法
手術前の化学療法(術前化学療法)

手術不能の局所進行乳がんに対して行う場合と、乳房温存手術の適応にならない大きな腫瘍に対して行い、治療効果が見られれば乳房温存手術を可能にする目的で行う場合があります。
FEC療法(5-FU、ファルモルビシン、エンドキサン)、タキサン系薬剤(タキソテール、タキソール)などの薬剤を使用します。

手術後の化学療法(術後補助化学療法)

再発を予防するために、手術後に行う化学療法です。
手術で切除した乳がん組織を顕微鏡で調べ、しこりの大きさ、リンパ節転移の個数、組織学的悪性度、ホルモン受容体の有無、細胞増殖マーカーなどを調べます。これにより再発のリスクや薬物療法の効果が期待できる程度がおおよそ判断でき、それに応じてどのような薬物療法を行うか決定します。
当院で行っている主な術後化学療法は以下のものがあります。
FEC療法、TC(タキソテール、エンドキサン)療法、FEC療法とタキサン系薬剤の併用

再発時の化学療法

FEC療法、CE療法(エンドキサン、ファルモルビシン)、タキサン系薬剤、ゼローダ、ティーエスワン、ジェムザール、カンプト、ナベルビン、CMF療法(エンドキサン、メソトレキセート、5-FU)、これらの薬剤の併用など。

2)分子標的治療薬について

乳がん患者さんのうち、約30%の人のがん細胞の表面にはHER2タンパクと呼ばれる物質が存在します。ハーセプチンやラパチニブなどの分子標的治療薬は、HER2タンパクがかかわっているがん細胞の増殖を抑制します。これらの薬剤の効果があるかを判断するためには、手術や生検で採った乳がん組織を用いて、乳がん細胞がどれほどHER2タンパクを持っているかを調べる必要があります。ハーセプチンでは術後再発予防のための投与は3週毎の1年間投与、転移性乳癌では毎週投与となります。またラパチニブは転移性乳癌の患者さんへの投与となります。

3) 内分泌療法(ホルモン療法)について

乳がんの約60%はホルモン受容体(エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター)を持っていて、ホルモン剤による治療が有効です。内分泌療法は化学療法に比べて副作用が少なく、生活の質を落とさずに治療ができます。
術後の再発予防目的あるいは再発時に使用します。
内分泌療法には以下の4種類の薬が使われます。

抗エストロゲン剤

乳がん細胞のエストロゲン受容体に作用して、女性ホルモンの働きをなくします。
*ノルバデックス(タスオミン)

LH-RHアゴニスト

閉経前の患者さんに使い、卵巣の機能を押さえて血液中の女性ホルモンの量を減らします。 
*リュープリン、 *ゾラデックス

アロマターゼ阻害剤

閉経後の患者さんに用い、閉経後の女性ホルモンの量をさらに少なくします。
* アリミデックス、* アロマシン、* フェマーラ

プロゲステロン製剤

プロゲステロン製剤を大量に投与することにより乳がん細胞の増殖を押さえます
*ヒスロンH

放射線治療について
手術後の放射線照射

乳房温存手術の場合、術後に温存された乳房に放射線照射を行うのが標準的な治療法です。これによって、乳房内の再発を半分以下に抑えることができます。

再発時の放射線照射

再発した部位(骨、リンパ節、軟部組織、脳など)に対して、痛みなどの症状をやわらげる目的で、放射線照射を行うことがあります。

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